万年筆と神経毒

浸潤する言葉を。

如月の言葉

20230201, Wed

 これでも僕は根っからの理系人間なんだよね。昔から、それこそ小学生の頃から理科が好きでテストも理科ばかりは高い得点だったし、一方国語とか英語のような文系科目は苦手だった。科学の未知の世界が好きで別冊ニュートンを買っては読んでいたし(でもSFは読まなかった)、それが理解できないことでもワクワクしながら不可解に陶然としていた。大学での研究は天然物化学で、まあ簡単に言えば新規化合物の構造決定をしていた。天然物の複雑さとその構造の美しさは言い表すのが難しい、マクロ環構造を有する高度に酸化されたポリケチドはこんなものどこにコードされていたのだろうと好奇心をくすぐるし、たった一ヶ所エピメラーゼをコードする遺伝子が入っているだけで変化する生物活性の異なるペプチドからは(創薬への)無限の可能性を感じられるし、未だに全合成が達成できない(タンパク質・ペプチドを除いて)天然有機化合物で最大の分子量をほこるマイトトキシンは構造式が既に芸術だよ。自然には芸術が転がっていて、荒い波に打たれて濡れた岩礁、森を少し分け入ったところに倒れている朽ちた杉の木、霏々と雪が降る溜め池で身を寄せ合う水鳥、そういった美しさに焦がれて僕は理を愛するようになったんだ。

 

20230202, Thu

 何のために生きているのだろう、そんな下らないことばかり考えてしまって厭になる。頭を空っぽにして生きることはできなくて、いつだってなんらかの考えが頭の中を遊泳している。意味を見出せないから味気ない、生を実感できないからいつまでも生を楽しむことができなくて、気まぐれでその場凌ぎの悦楽に逃げて、でもその瞬間が過ぎ去ってしまうと空虚で悲しくなる。ああ、いつまでこんな風に生きなきゃあならぬのだ。義務ではないと分かっているのに、でも僕をコードする遺伝子は生きるように命じるから僕は食事を摂るし、睡眠をするし、性欲も感じる。まったくこれは生命に呪われているよ、束縛されているよ。この肉の殻は牢獄だ。概念になりたい、美になりたい、そう思っているがでも方策はなくて、悲嘆に暮れて下を向いてぶつぶつと不満を呟くだけ。狂人だね。

 

20230206, Mon

 単純な人間なので単純な話を書いている。次回作は醇乎たる姉妹のお話です。

 

20230207, Tue

 にでぃがもBSTもステラもプレイしたいなと思いつつ買ってすらいない、きっとプレイしたら面白いんだろうなあ、でもなぜか買うには至らない。積みゲーになることが分かり切っているからないのだろうね、最近の僕はどうにもゲームをしなくなってしまった。自分の中から熱が失われて、でも再燃させる方法が分からなくて虚無なんです。助けて欲しい、もっと味わいたい、でもなぜか動けない。酷い鬱状態なのもあるのだと思う、日々濃くなる隈と比例するように重くなる身体、精神は不活化してまったく生きている死体だね、腐ってしまったよ。それでも少しづつではあるけれど創作の方は進捗を出していて、もうこればかりが僕のよすがになりつつあるね。生き方が歪なんだよ、君という奴は、一つの物事にしか集中できないんだ。それは良いことなのかも知れないけれど、あくまで一面に過ぎなくて、突き詰めればやっぱり悪い傾向だよ。もう少し気楽であればいいのにいつも追い立てられるように生きていて、生き急いではないのに焦っていて、精神をやられても何かしなければという意識が働いて自分をぶっ壊してしまう。やめなよ、やめれないね、分かっている、分かっているんだよ、でも無理なんだ。

……ああ、もうこんな時間か。

 

20230211, Sat

 僕という人間はおしゃれとは縁遠い人間なもので、外出を厭うこともあってか外見に関することはとんと興味がない。自分の生まれ持った見た目も良いのか悪いのかよく分かっていないし、だから飾ろうという気にもならない。何度も同じことを書いている気がするのだけれど、今でもやはり衣服は最低限着られればいいと思っているし——だからユニクロマーガレットハウエルの違いも値段以外よく分かっていない——、散髪は全部自分で行っている(美容院に行く勇気がないのです)。赤の他人と関わることが少ないからおしゃれをする必要がなく、そのまま蟄居生活に適応してしまった今の僕はまるで翅や口を退化させてしまった蜉蝣のようだね。このまま一生を過ごしそうな気がするね、おしゃれを摂取せずに死んでいくのだ。だって僕にとって美しいものとおしゃれは別の形相だから。美に埋没したいが、それはおしゃれとは遠いのです。

 

20230214, Tue

 先日作業用に誂えてもらったデスクが届きました。masterwalって家具屋にサイズやらなんやらを特注したのでこのデザインは世界に一つなのでしょう、まだ使い始めて数日なのですが満足度が高い(高さを75cmとしたので前傾姿勢にならなくて済むのも佳い)。一生ものかもしれません、余程のことが無い限り使い続けると思います。

 実は今年度は家具を一通り揃えることが目標でしたがこれで達成しました(他にベッドや椅子も買っていました)。するとまあ、お金を費やすあてがなくなるわけですが、来年は恐らく収入のほとんどを奨学金の返済にあてるでしょう。はやく枷をなくしたいものです、でないとこの世に未練を残すことになる。誰かの負担になったまま消えたくはない。自分の生は精算したいのです。

 自分の人生なのだから両腕を広げた範囲に届く距離になくては安心できないのです。僕はやはり運命というものを信じていませんし、あってほしくないと思っていますから、あらゆる外的な要因を排して純粋な結晶となりたいのです。それが僕にとっての美の一つであるのです。

 

20230218, Sat

 無印のメロンソーダが美味しい。このワザとらしいメロン味!と頭の中で唸っている。

 

20230221, Tue

 今使っているMacのディスプレイがおかしい。白い画面の時には気付ないのだけれど、背景が黒い時に緑や赤の点が映っている。最初は埃かとも思っていたけれど、フィルムを剥がしても変わらないのだからどうやらディスプレイの故障なのだろうね。しかしどうしよう、修理に出すのはいいのだけれどPCに触れる時間が減ってしまう。いやあ、まったくこれは中毒者というやつだね、依存症だよ。

 一応(延長した)保証期間内だからこれが切れる前には持っていかないとなあ。

 ああ、Macがない間はWinのPCで絵でも描いておきましょう。

 

20230225, Sat

 C102に申し込んだ。完成するかなあ、じゃなくて完成させます。こうして自分に締め切りを課すとどうしてもやらなければという焦燥感があって気持ちの良いものではないのだけれど、このままずるずる進めていたところで完成が遠のいてしまうのでこれでいいのです。さてひとまずは四月までにシナリオを書き終えたいところですね、でも僕の書き方の場合大まかな下地はあれどプロットが存在せず意識の流れのままに書いているものだから修正が多くて時間がかかってしまう。絵を描くのもざっくりとした下地があってそのに色を塗り重ねていく厚塗りしかできない不器用な人間で、サークルカットの絵は多少妥協したもののだいぶ時間をかけてしまった。本編には出ない絵だというのにね。あれはイメージ画像です。さて今は執筆用のMacを修理に出しているので進捗を出せません。このわずかな時間でできる限りインプットとまとめをしておきたいですね。最近はどうにもインプット不足ですから美しい文章を読んでおきたいですね。ああ、昨年読もうと思って積んでいたウルフの波がありました、あれを読みませう。しかしサクラノ刻はどうしようかね。今すぐに起動してもいいのだけれど自作を書き終えた後の楽しみにしておきたい気分でもある。