万年筆と神経毒

浸潤する言葉を。

一月と言葉

20240103, Wed

 年をまたぎ、数日が経った。早々に地震や航空機事故といった災難が起こりめでたさなんてまるでない。夜の帳のようで暗澹たる気鬱さがうっすらと漂っているようだ。誰かが言う、新年早々にこれでは幸先が悪いと。しかし日にちなど関係なく、ただそれは摂理に基づいてまるであらかじめ定められていたかのように起こるのだから、起こってしまった事実を粛々と受け入れるしかないのです。そこに幸も災もありません。そもそも僕たちは弱い肉体を持つ存在で、自然現象をコントロールする手だてなど持たぬのだから。……悲しいことです、実に悲しい。僕たちは弱い、どうしようもなくか弱く簡単に潰されてしまう。命が簡単に失われる。

 この文章を書いている僕は此度の地震とは遠く離れている内地におり、画面の向こう側の出来事としてでしか被害を知れていない、とても安全な場所から今も命を脅かされ不安の只中にある人々のことを考えている。罪深いと思う、それはどうしたって安心を覚えてしまう行為だから。それでも考えずにはいられない、苦しい。せめて一刻でも早くこの厄災から恢復できるよう願っている。願わせて下さい。

 

20240106, Sat

 一度は目にしたことがある言説の一つに「作者は自分より頭の良い人物を描けない」があると思うのだけれど、これについて僕はおおむね同意していて、だから僕自身は頭が良い設定のキャラクターを描かないし、描けないと思っている。……まあ頭が良いということがなんなのかはちゃんと定義すべきではあるのだけれど。ここでは知識の豊かさではなく、知識を繋げ知恵とする力としておきます。

 とはいえ表に出していないだけで設定ではある程度頭の善し悪しというか、最終学歴程度は一応決めていて、たとえばChild of Doppelgänger-Prequel-では主人公の柊理香子は公立高校卒、その母である柊翠は遺伝学専攻の理学博士としていたりする。まああくまで作者の脳内設定のようなものです。

 設定といえばそれぞれのキャラクターに生年月日も一応決めている、理香子が1993/09/08で、くるみが2001/07/16で日付にはそれぞれ意味が込められていたりする。ここらへんはもう作者の偏執的な部分ですね。恐らく作中で明示することはないでしょう。閑話休題

 作者が描ける限界は作者の脳内で規定されうるので、これを越えることは出来ず、故に登場人物の持つ知恵の限界も作者の限界と一致してしまう。逆に下限もあるのだろうね、僕たちは自分の考えからある一定の範囲しか泳ぐことしか出来ない。せめてこの限界を曖昧に表現したくてだから僕は他人の語りを好み、それを真似て文章を形作ろうとしているのだね——とはいえ僕の描くキャラクターの語りはどうしても敬愛するドストエフスキーを始めとしたロシア文学の影響を酷く受けているのですが。

 結句、何が言いたいのかといえば今読んでいる『大阪の生活史』がとても面白いということです。多くの人々が紡ぐそれぞれの語りからしか得られぬ栄養があるのです。

 

20240110, Wed

 最近何かと話題に上るAI生成だけれど、僕は基本的にそれらを忌み嫌っている。なんというか受け付けない。DlsiteのAI生成作品も多過ぎて厭になっている。

 

20240114, Sun

 このはてなブログしかりBoothしかりでjeuxdeauという文字をサブドメインに使っている理由は単にラヴェルが好きで彼のJeux d'eau(水の戯れ)を元にしているというのもあるのだけれどそれだけでなくて、Jeux d'eauの英訳の一つがThe Fountainだからなのだよね。ご存知の通り僕のサークル名は万年筆と神経毒で、英語ではFountain Pen and Neurotoxinと書いている。このFountainに繋がりにあやかってjeuxdeauをサブドメインにしたわけです。適当に付けたのではなくて、少なからず理由があったのですね。

 

20240118, Thu

 新作の完成を夏コミを目標に先延ばしにしたのでここ最近はシナリオのブラッシュアップと追加をしている。当初は一時間弱で終わるような長さの予定だったのだけれど図らずとも制作期間が伸びてしまったのでもう少し長くなると思う。二時間いくかな、いかないかな、まあ僕が書けるかどうかです。C103で公開した部分に手を加えるかは微妙なところ、まあ既に細かい部分の文章は弄っているのだけどね、でも大きく変更するつもりは今のところないかなあ、そんなことをしたら多分完成に辿り着けない。スィニヤの設定はわりかし佳いと思っているので(細かい部分はまだ曖昧だけど)そこらへんを大きく変更することはないだろう。今作もだけどやはり僕はプロットなんてろくに書いておらずほとんど頭の中で糸を紡ぐようにして文章を編んでいる、次に載せるのは僕がプロットと称する何か

1.息が苦しい所から始まる。どうしてこうなったのか、何が起こったのか。ヴェーラに助けられる。

ヴェーラについて。水魔とは。

私はそれを何かが人の姿に化けているものだと分かっていたのだけれど、またヴェーラに会えたことが嬉しくて逃げたいとは思えなかった。

この数行のメモ書きのようなものからChapter1(5000字)を書いたのだね、僕の文章があまり起伏がなくストーリーが弱いのは展開について思いを巡らすことが少ないからなのかなあ。まあそういった弱点をもう少し克服できるように新作を書いていきたいですね、そのための実験作ですから。

 ああそういえば、ここで書くものなんですがちょこちょこDL版が売れてくれたおかげでChild of Doppelgänger-Prequel-の外注費をまかなうことができました、本当にありがとうございます。パッケージ版は価格設定を何も考えていなかったのもあってパッケージ製作費をまかなうのに一杯だったので助かりました(BOOTHで販売した分にいたっては手数料を加味してなかったのは愚かでした)。

 

20240121, Sun

 昨日と今日でタイトル回りのUIを詰めていた。タイトルのロゴもちょっと弄って柔らい雰囲気にしてみたのだけれどどうだろうね、僕としてはまあ及第点かなと思っている。UI関係についてはバックログとかその他諸々をブラッシュアップするつもりだけれど僕にはあまりセンスというものがないからなあ、まあなんとかやってみるでしょう。

 UIに逃げていないでそろそろシナリオの執筆に本腰を入れたい。

 

20240127, Sat

 別に忙しいという訳ではないのだけれど、ここ最近はブログの方に意識を向けていなかった。今はUIのブラッシュアップに注力していてほぼほぼ詰め切ったかな、どうしてもスイススタイルから脱却できないのでもうこの方向性に舵を切った、平坦だけどわりかし佳いデザインになったかしら、Xに暫定的なものをアップしたけど青いね、色合いが。タイトルからして青系統の色で統一しようとは思っていたけれどかなり紺碧のような青になってしまった。ドッペルゲンガーの方もアクセントに青を使っていたけれどやはり僕は青色が好きなんだなあ、この冷たさが堪らない。文章も青色のように冷たく論理的なものを書けたらといつも思っている。感傷や狂気に先立つ青いものを。

 しかし青は好きだけど寒いのは嫌いだ。冬という季節は好きだけど、やはり寒いのは嫌いだ。

 

20240128, Sun

 Jeux bleuのUI回りを完成させた、恐らくもう弄らないと思う。既に決まっていたパッケージのデザインに寄せて白枠に青色のシンプルなものになった。体験版の頃とはかなり印象が変わったと思う、あれはあまり統一感がなかったから。今作もまたやや扱いにくいUIかもしれないけれどまあいいでしょう、僕はこれで満足です。

 というわけで来週からはシナリオの執筆に注力していくと思う、二月いっぱいでひとまず書き上げたいところだけどどうだろう、僕次第なのはあたりまえだけれど未来の僕は果たして頑張ってくれるでしょうか、頑張って欲しいですね。

 

20240129, Mon

 しばらく前にキッシュを作ろうと深めのタルト型を買ったのだけれど、ポロネギが手に入らなくて死蔵されたままだ。好きなんだよね、ポロネギ。ネギとタマネギの中間のような植物であの甘味がとても佳い。ソフリットを作る時も基本のニンジン、タマネギ、セロリに加えポロネギを使うようにしているし、この有無でかなり味わいが変わる。いやまあキッシュなら普通のベーコンとほうれん草を使ったものを作ればいいのだけれどポロネギにこだわるのはChild of Doppelgänger-Prequel-で描写したキッシュを再現したいのもある。しかしせっかく型を買ったのだから他にも活用したいなあ、今度チーズケーキタルトでも作ろうかしら。いや、それよりもまず一月前に買った紫芋をそろそろ消費しないと、スィートポテトを作ろうとして面倒で放置したままだ。裏ごしが大変なのよね。

 

20240131, Wed

 ヤンデレというジャンルが苦手でどうしてそうなのかを考えてみたけれど、なかなか言語化に苦しむ。行き過ぎた好意によって精神に異常をきたす、それ自体はまあ別に厭な部分ではないのだけれど、その病んでいる状態の扱い方が大抵僕にとって好ましいものではない。なんというか軽いように感じる、納得できないのです、なぜ病んでしまうほどの好意を抱いているかの描写が薄いものが多くはありませんか。その好きは一体どこからやってきて、どのように醸成されたのかが分からなければただただ狂気じみた愛情を向けてくる異常者にしか見えず、与えられた(作り物の)属性としてしか受け取れない。そのプラ板のような軽さが僕には耐えられない。