万年筆と神経毒

浸潤する言葉を。

霜月の言葉

20231103, Fri

 今年もあと二ヶ月、随分経過が早いと思う。あっという間に過ぎ去ってしまうからこそ濃密な日にしたいと思っているのに無為にしてしまうのは罪深い、でも避けられない。悲しいね、そんなものだよね。

 そういえば今日ちょっと買い物に出た際に警察に呼び止められた。自転車に鍵が据え付けでないのを見咎められたようだったのだけど、別で持ち歩いているのを見せたら納得してもらえた。そういえば防犯登録の住所変更をしていなかったのでどこかで手続きをしにいかないといけないなと思ったり。しかしほんの少し外に出ただけで警察の厄介になるのは嫌になる、別にやましいことをしているわけではないので堂々としていればいいのだけれど、子供の頃に悪い印象を受けた組織であるからどうしても気分が悪い。相手もいい人だとは分かっているけれど、あくまで職務の一つに過ぎないのは理解しているのだけれど、それでも佳い記憶の無いものに対しては警戒心を抱かずにはいられない。いつまで引き摺っているんだ、そろそろいい加減にしろよ。全く僕はこんなんだからいつまでも改善できないのです。

 

20231106, Mon

 今日は個人的に定めていたシナリオの〆切なんだけれども、結局書き終えることが出来なかった。結局想定している2/3しか書けていないのはまずいね、伸ばせるギリギリは来週末かなあ。どうしたって遅筆なのは分かっていたのだけれど、文体を意識的に変えているのもあって一時間で5百文字書ければいいところなのは想定外だった。思いの外進みが遅い、物語も自分で書いていて面白いのかは分からない。まあこれはいつものことですが。それでもそれなりに綺麗な文章になっているかなとは思う。コミケは何とか間に合わせるつもりです——最悪スチルの枚数を制限すればいいので。

 

20231107, Tue

 部屋着は一週間同じものを着て、家の食事は一週間同じものを食べ続け、掃除機をかけるのも週に一度、ごみ捨ては袋一杯になったらか臭い出してから、仕事以外での外出は月に一度あるかないかで、僕は若干セルフネグレクトに脚を突っ込んでいるのだろう。でもそれの何が悪いのか、誰にも迷惑をかけていなくて、外出するときは最低限身だしなみを整える。まだ致命的ではない、まだ普通の人間でいられていると思う。自分の興味関心を惹かないものに対して極端に蔑ろにしてしまう、逆に佳いと思うものは執拗に求めてしまう。それで人間関係を破壊することも多い。中間がなく、プラスかマイナスの極性しかないのはどうして生き辛いと感じてしまうけれど、矯正する方法もないのだ、身体は勝手に動いてしまう。僕は自分を普通の人だと思っているけれど、やっぱり少しだけ変わり者らしい。普通は一週間も同じものを食べ続けるのは飽いてしまうらしい、普通は毎日身体を清潔に保たなくては不快だと思うらしい、よく分からない。よく分からない正常が世の中に蔓延っている。

 

20231108, Wed

 指先の痛みが続いている、特に人差指が両手とも。ここ最近は家にいればずっとキーボードを叩いていて、きっとそれのせいなのだろう。今は肉の部分で叩くのが辛いので爪の先で叩くようにしている。でも慣れないから、結構打ち間違えてしまう。ロキソプレファンでも服用しようかしらと思いつつ、打撲のようなものだから休ませないことには痛みが引かないことは分かっているのだよね。でも色々とやることに追われているし、一旦絵の作業に入ってもいいかもしれないけれど、結局文章がなければ完成できないんだから優先順位の一番はキーボードを叩き続けることなのだね。しかし痛いなあ、痛いぞ、このまま壊死してしまいそうだ。まだ身体が不調を訴える年ではないのだけれど時々弱って来ているのを感じる。特に筋肉の衰え、引かない頭痛、慢性的な低い耳鳴り、歯車のように油を差せば改善できるような身体になりたい、部品を取り換えれば不調が消える機械のように。でもそれはあくまで比喩で、機械なんぞにはなりたくない、僕は人間なのです、生命であるのだから機械のように限られたことをプログラムの通り行うのではなく、限りある命を賭してでも理想を追い求めたいのです、未来を探求し創り上げることこそが自分に形相を与えてくれる、打ち捨てられ錆びた機械になるのは嫌だ、赦して欲しい。指が痛い、頭も痛い、しかしこうして明るい画面を見続けて頭の中を書き記している自分は一体機械のようではないか。ああ、人になりたい。

 

20231110, Fri

 コミケに受かった、退路を断たれた。12/31東R15bにて頒布できるよう一層頑張ります。

 

20231111, Sat

 独り暮らしを始めて一年半を過ぎた今日、ついに電子レンジ(オーブンレンジ)が導入された。弟が不要になったからと譲ってくれたのだ。検めてみると実に汚れていた、内部にはかなりの焦げがこびりついており、擦ってもなかなか消せなかった。メラミンスポンジをためしても駄目だ、なにかスクレーパーのようなもので剥がさないといけないかもしれない。一応手持ちの掃除道具で数時間かけてようやくそれなりに綺麗にしたのだけれど、まだ汚れは残っている。こういうのは許せないのだよね、使うにしても最低限僕の許せる程度に綺麗にしたいのだ。綺麗好きではないけれど、汚れてても気にならない境界線というのがある。少なくとも焦げがまだ残っている状態はよろしくない。明日はもう少し綺麗にしようと思う、今日はもう疲れてしまった。

 さてオーブンレンジが使えるようになったので何を作ろうかと考える。スコーンが好きなので近々作りたいし、パイ生地を作ってパイを焼くのもいいかもしれない。あるいはつぼ焼きなんかもいいだろう。作りたい料理を考えてもしかしレンジの機能を活用する情景が浮かばない、僕はすっかりレンジを使う生活から離れていたので何に使えばいいのかすら判然としないのだ。手軽にものを温められるのはいいと思う、しかし手鍋で十分だと思っているところもあって焼くと煮るを同時にしなければいけない瞬間しか使わないだろうなと思ったり。カレーを温めている間にナンを焼くとかね。まあ様子を見つつ使っていくかとは思う、せっかくあるものを使わなければ損ですからね、オーブン二週間にいっぺんくらいは使ってやりたいなあ。

 

20231115, Wed

 僕には明確にこれが好きだと言えるような食べ物が少ないのだけれど、かといってない訳ではない。グラクロ(コメダグラタンコロッケバーガー)は珍しく僕が好きな料理の一つ。休日にわざわざ赴いてまで食べるのは驚くべきことで、グラクロに関しては販売期間中月に一度食べに行く程度には好きだ。あんな炭水化物、小麦粉の塊みたいな食べ物だというのに本当に美味しく感じられるのはどうしてだろうね。同じくマクドグラコロはまあ好きだけれどコメダがあるならわざわざ食べに行くことはない。マグド自体もう随分と行っていないなあ。ところで今年のコメダのグラクロはいつから販売開始なのでしょう、去年の今頃には告知があったのだけどなあ。待ち遠しいなあ。

 

20231118, Sat

 好きなものを嫌いになること、あるいは関心を払えなくなってしまうことはよくあるのだけれど、嫌いだったものを好きになることはほとんどない、ほとんどというか今までに一度もなかったと思う。嫌いな事物をより一層嫌いになってしまい、いつの間にか徹底的に避けてしまうようになって、例えば僕の場合それは特定の味(食物)や匂い(香料)、人であったりする。よく一つの言説として好きの反対は無関心だと言われることがあるけれど、僕から言わしてみればそれは全く的外れだと思うね、好意に対立するのは徹底的な嫌悪だし、だから無関心に思えるほどに無意識に忌避してしまう。嫌いになってしまったものは避けてしまうがためにそもそも視界に入らず向ける感情が反転することもない。好きなものは好きであるから自然と視線を向けてしまうし、細部を気にしてしまう。皮膚の、その肌理を見てしまうかのように。毛穴を見て気持ち悪いと感じてしまうように、時に好意の視線は見たくないものを必要以上に認識してしまって、拒絶を覚え、好きは容易く嫌いに変質する。それはまるで高度に酸化されてしまうような不可逆的な化学反応。一度知ってしまった嫌悪は完全には消えることなく折りに触れて表象に浮かんでしまうのだから困ったものだ、好きになりたいのにもう好きにはなれない、まるで呪いのように。僕はもうアポテーケのインセンスを買うことはないだろう、僕はもう固ゆで卵を作ることはないだろう、僕はもう部活の同窓会に顔を出すことはないだろう。嫌いなものは無制限に増え続けていくのに、好きなものは増えるどころか減ってしまう、なんてつまらないのだろう、でも止められない。せめて好きを減らさないように適切な距離を保ちたい、距離というのは大切だよ、少なくとも僕はそう思うのだよね。人との距離感を誤ってばかりの僕が言うのだ、間違いないよ。近付き過ぎてしまえばどちらも傷付くことになるのだから、嫌な部分が鮮明になるのだから。好きなグラノーラも一ヶ月食べ続けてしまえば飽きがきて、見たくもなくなってしまうように。ほどほどにしておくべきなのだよ、なににおいてもね。それが好きと嫌いとの適切な付き合い方で、つまらないかも知れないけれど人生の対処法なのだ。

 

20231121, Tue

 最近日記の更新が疎かになっていてよろしくないなあと思ったり。でもこれは僕が気ままに書くだけなので義務感など必要無いのだといえばそうなんだよね。しかし一度始めてしまったものはどうして続けたいという気持ちが沸いてしまうので書く気力がなくとも書いているのだね。ここ最近はずっとコミケに向けての新作制作に忙しくてリソースがそっちに持っていかれている。ただでさえ予定より大幅に遅れているのです、他にもかまける暇はないのだけれど、やっぱり日記に手をつけてしまう。なんだかんだで僅かでも自分の心持ちを文字にしたいという欲求があるのだね。

 

20231125, Sat

 進捗が本当にまずい。すでに修羅場。

 

20231128, Tue

 aesopでオラノンを買い求めた。数カ月前に新作の香水が出ていたのは知っていたのだけれど、中々足が向かなくて今日やっと試嗅がてら行ってきた。トップの柑橘っぽさが少し好みから外れてはいたのだけれど、フランキンセンスとミルラがとても佳い香りで、奥からやってくるパチュリの渋味のあるスパイシーさが心地よかった。印象としては風化した岩肌っぽいというかなんというか、かなり男性的な側面が強い香水ではあったのだけれど、これがどうして好みだった。僕の個人的なイメージだとヨハネ19を想起させる感じかなあ。

 

20231130, Thu

 僕はごてごてのデザインがあまり好きではない。キラキラと過剰に飾られた脂っこいロゴなんか見ていて目が回る。情報が多ければそれだけで一見凄いと思うのかも知れないけれど、飾らなくともシンプルなものにだって佳さが詰まっていると思う。ある駅内の液晶広告でみたVtuberらしき人物の名前ロゴなんて醜悪だとすらおもった、ごてごてとした流行のとにかく個性的であれと情報を詰め込んだデザインのどこに魅力を感じれば佳いのだろう。そもそもとして個性的であることを、差別化することを力技で成し遂げようとするのが気に食わない、やるにしたってもう少し洗練とすべきではありませんか、不要な脂肪は落とそうとは思えませんか。あんな二郎系(二郎インスパイア)ラーメンみたいなデザイン、そろそろ胃が凭れてくるでしょう。まあ脂っこいデザインが好きな人がいるのも分かるし、シンプルであることが正義とも思わないよ。個人の嗜好もきっとある、僕なんかはヘルムート・シュミットを敬愛している人であるからやはりすっきりとしたデザインが好きだし——ちなみに好きなフォントはFuturaHelvetica、Arialは大嫌い——どうしても正反対なものに嫌悪感を抱いてしまうだけなのかもしれない。